ワイルドライフアート2

Wild life art

私の所属する動物アートの団体「日本ワイルドライフアート協会」の展示会が年3回あり、それぞれに新作を出し続けていることもあり、現在制作活動の大きな比率を占めています。今後もこのペースで作品が増えていくことと思われます。ただ私の場合モチーフのチョイスがややマニアックと言われますが、これは自分が実物を見てみたいと思うものを作るというのが動機になっているからです。

 

 11.ハシビロコウ

Shoebillr


2005年発表 高さ50cm、幅20cm インクジェット紙使用
パソコンで設計した作品です。3Dソフト六角大王で3Dイメージを作り、展開ソフトぺパクラデザイナーで展開図を作り、それぞれのパーツにフォトショップでテクスチャーを描画したものをプリントして組み立てたものです。羽の重なり方など細部の造形は、上野動物園で実物を見て確認しました。しかし、飼育下のものは初列風切をカットしてあるので、野生の写真を見て、その部分を付け足すという念の入れようでした。

 

12.ナキウサギ

Pika

2006年発表 高さ40cm幅45cm タント紙、レザック、インクジェット紙等使用
このオブジェは、二つの作品が合体したものです。土台となっている木の根は、「Power」という独立した作品でした。切り倒された老木の根の、枝分かれした一番先から、若芽が出ているという、生への執着、自然界の底力、そんなエネルギーを表現したかったのです。これを何度か展示しているうちに、「ここに何か動物がいればいいのに」という声が多く聞かれ、希少動物であるナキウサギを配置することで「自然からの叫び」が表現できないかと考えたわけです。ナキウサギはパソコンで設計。木の根からは取り外し可能です。

13.カッコウとオオヨシキリ

Cuckooand Great reed warbler

2006年発表 B5半立体 ピーチケント他使用
カッコウは、オオヨシキリの巣に自分の卵を落とし、育てさせる「託卵」の習性があります。オオヨシキリはそれに気づかず、カッコウの雛が自分より大きく成長してもなお餌をやり続けます。外国の鳥の本に載っていた写真をもとに、3Dモデルを作って展開し、テクスチャーを書き込んでプリントした用紙を組み立てました。背景の茎もみんな紙で作り、遠近を調整して配置したものです。

14.生きた緑の紐

Living green rope

2007年発表 高さ40cm、幅45cm タント紙、インクジェット紙使用
モデルは、ハナナガムチヘビという、非常に細いことで有名なヘビです。これでも肉食の毒蛇で、自分の胴体よりはるかに太ったネズミも飲み込みます。このように細くてくねくね曲がった形態というのはペーパークラフトでは最も作りにくいものの一つです。ここでも、ペーパークラフトの技法の可能性への挑戦としました。ヘビの体表には、鱗のテクスチャーを印刷しました。

15.緊迫

Strain

2007年発表 B3半立体 タント紙、ミラー板使用
草原から飛び出した野ウサギを、急降下したイヌワシが爪を立ててまさに捕らえようとする直前の緊迫感を固定しました。ベースは鏡であることに注目。ここに、左半分だけ作ったワシとウサギを張り付けて、あたかも両者が宙に浮いているように見せています。実際に現場でこれを見て、視点を変えながら作品を半周してみると、時間の止まった不思議な世界を体感することができます。
 

16.ウミイグアナ

Marine iguana

2008年発表 長さ60cm レザック、ピーチケント使用
友人にガラパゴス諸島に行った人がいて、現場のウミイグアナの高画質写真を大量に撮ってきてもらいました。それをもとにして3D画像を作り、ぺパクラデザイナーで展開してテクスチャーを貼り付けました。誰もが「ペーパークラフトの質感じゃない」と驚きます。この作品の展開図はキャノン・クリエイティブパークのサイトで公開されています。
 
 

17.

クマムシ

Water bear

2008年発表 長さ18cm タント紙使用
クマムシとは、緩歩動物門に属する1mm以下の微生物ですが、高温・低温・高圧・真空・放射線に強く、あらゆる悪条件の環境でも生き抜くという、驚異的な生命力で知られています。この年に開かれた6人展「ちいさな大自然」のテーマに合わせて作りました。鞭毛は細い針金が芯になっています。

 

18.天空の主

The Lord of sky

2008年発表 1辺25cm半立体 マーメイド、カラーボード、ラシャ等使用
言うまでもなく、舞台となっているのはペルーの世界遺産マチュピチュで、製作のほとんどの労力をマチュピチュのミニチュア作りに費やしています。絵画の場合ワイルドライフアートと言っても、一部に動物が入った風景画、というのも多く、そのような作品がペーパークラフトでも出来ないか、と試してみたのがこの作品です。付け足しのように、遺跡の上空をアンデスコンドルが飛んでいます。なお遺跡のミニチュアはコンドルの目線で見たように、真横ではなく、やや上から見たアングルで再現してあります。
 
   

19.イノシシ親子

Wildpig family

2009年発表 親の体長45cm ピーチケント、タント紙使用
親はパソコンで展開図にイノシシの毛皮に由来するテクスチャーを張り合わせてプリントし、とにかくリアルに作りました。一方、ウリ坊は無地のカラーペーパーの張り合わせによって柄を表現しました。実寸の二分の一ぐらいですが、こうして自然の中で撮影すると、よりリアルに見えます。
 
 

20.

タスマニアデビル

Tasmanian Devil

2009年発表 体長35cm ピーチケント使用
タスマニア島に/住んでいる/真っ黒な/肉食有袋類。/悪魔とも呼ばれ/出くわしたら/びっくりするが/ルックスは意外とかわいい。
この文章は「あいうえお作文」になっています。
日本の動物園ではなかなか見られない珍しい動物をこれからもどんどん作っていきたいと考えています。

 
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