ペーパークラフト講座基本篇
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このコーナーでは、これからペーパークラフトにチャレンジしようという方のために、基本的な知識やテクニックをご紹介します。中には門外不出の裏ワザに相当する部分もありますが、ペーパークラフトの普及のためには情報の提供を惜しみません。ハサミの使い方に始まり、今後どんどん記事が追加されていくので、全部集めればペーパークラフトの入門書が完成することになります。 |
道具紹介 |
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この講座は、ペーパークラフトの基本的な知識や技術を紹介するコーナーのつもりで始めたのですが、前回の接続の項は、ちょっと調子に乗りすぎて、いきなりマニアックで末梢的な内容になってしまいましたので、反省をこめながら軌道修正したいと思います。 そもそも、考えてみれば、ペーパークラフトの主役である紙について、まだ全く触れていませんでした。そこで、初心に返る意味で今回は紙をとりあげてみましょう。 一口に紙といっても、膨大な種類があるものです。画材店をのぞいたことのある方なら実感できるでしょう。だから、ペーパークラフトを作るのに、「この紙じゃなければだめ」なんてことは全くなく、逆に言えばどんな紙でも使い方によってそれぞれの利用価値があるのです。しかし、初心者の方の試行錯誤を最小限に押さえるために、私の経験に基づく紙選びのポイントを説明していきましょう。 まず、紙でどんなものを作りたいかをイメージします。四角や多角形のがっしりした立体を作りたければ厚手のボール紙や板目表紙、円柱や自由な曲面が作りたいならケント紙や画用紙など、少し薄手の厚紙。さらに他の厚紙に張りつけて作るのならばもっと薄手の紙や和紙がたくさんあります。 そして、紙を選ぶもう一つの決め手は、色や模様、質感などです。こればかりはHPの画像で見るよりも実際に店頭で見たり手に取ったりして確かめるのが最適なのですが、そうした専門店の近くに住んでいる方は多くないでしょうから、私のよく使用している紙に関しては下に表にして紹介します。この中で●印のついた紙は一般の文具店でも入手できそうなもの、○印のついたものは専門店でしか手に入らないかもしれない紙種を示します。 |
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こうしてみると、一般の文房具店では手に入らない特殊な紙ばかりで、専門店が近くにない地方の方にはペーパークラフトが楽しめないのでは、と思われるかも知れませんが、じつは専門店以外でも、いろいろな紙を入手する方法はありますし、この項の最後には番外編として、オリジナルペーパーを自作する裏ワザも紹介したいと考えております。 まず、既成の特殊紙を手に入れる方法ですが、一番手っ取り早いのは、ギフトや郵便関係の売り場をのぞいてみることです。各種ラッピングペーパーや封筒、パッケージ、紙袋などには、必ず凝った特殊紙が使われています。もちろん、使用済みの包装紙や、空き箱をバラして使うという廃物利用も、立派な手段です。いらない書籍の中表紙やプリンタ用紙やレポート用紙に付いてくるボール紙も使えます。 また、文房具店以外でも特殊な紙が手に入ることがあります。たとえば台所用品のキッチンペーパーは独特の凹凸が面白いし、ペーパーナプキンやコースターの周囲のレース部分は、装飾の演出に使えます。その他、手芸用品、園芸用品、住宅補修用品などの中にも面白い商品がありますから、のぞいてみてください。 また、たとえば小京都系の観光地には、必ず和紙を扱った専門店が進出しており、都会では手に入りにくい種類の和紙が安価で売っていたりもします。 しかし、高価な特殊紙を使うのは、あくまでも正式な作品作りのフィニッシュの部分にとどめましょう。それ以外、外から見えない部分や、私的な作品、練習などには、身の回りのどんな紙を使ってもよいのです。 じつは、これほど多彩な種類の紙が手に入るのは、世界の中で日本だけなのだそうです。外国では、入手できたとしても、ものすごく高価です。しかし、洋紙を使ったペーパークラフトの本場は欧米ですから、そちらではどんな紙が使われているのかというと、多くのペーパークラフト作家が、独自のカラーペーパーを自作して使っているのです。 それは、作家の個性はまず材料から、というプロのこだわりによることもありますが、彼らの方法は、紙を入手できない人にとって大いに参考にできると思いますし、また、新たな紙質の開発が新たな作品の創作意欲を引き出すことにもつながります。そうしたオリジナルペーパーの作り方をいくつかご紹介しましょう。 まず、多くの作家がカラーペーパーを作る方法として、白紙にエアブラシで色を吹き付けるというやり方があります。市販の紙とそっくりなものを作る必要などなく、白を加えたパステルカラーにしたり、粒子の粗いドット模様にしたり、グラデーションや混色を使ったりと、自由に演出することができます。 エアブラシがない場合はカラースプレーで同じような効果が得られます。ただし、溶剤や紙の薄さによっては色が裏にしみ出してしまうので、必ず本番の前に同質の紙で確かめてください。また、これらの方法では、裏表が別の色になるリバーシブルの紙を作ることもできますから、その用途の可能性は市販の紙を越えるといえるでしょう。 もっと簡単にエアブラシの効果が得られるのがインクジェット・プリンターです。こうしてインターネットを利用している方々には、むしろその方が身近でしょう。PhotoshopやPainterなどの画像ソフトで柄を作り、それをプリントすれば、一色塗りだけでなく、千代紙のようなパターンを印刷することもできます。 印刷には、発色はやや落ちますが色が繊維にしみこむので落ちない普通紙が向いています。マーメイドやレザックのように微妙な凹凸のある紙でもインクジェット式ならば均一に塗ることができます。また、展開図をそのまま紙にコピーすることもできますから、試作品を作る時には便利です。 次に、高価で入手しにくい和紙を作る方法をご紹介しましょう。といっても、製紙の道具や技術なんて必要ありません。洋紙や身近な材料をちょっと加工して作る「なんちゃって和紙」です。 和紙の特徴は、繊維が剥き出しでケバ立って見えることです。これを再現するためには、レザックのような少し厚めの紙を二枚にはがして、内側を見せれば和紙のように見えます。また、ケバ立てるために、表面をサンドペーパーで削る方法もあります。 また、洋紙を水で濡らし、しわくちゃに丸めてまんべんなくしわをつけてから乾かすと、和紙の「もみ紙」のような素材になります。濡れているうちに絵の具をポツポツと垂らせば、しぼり染めのようなパターンができます。 さらに、ウエットティッシュを乾かすと、ちぎった時に長い繊維が出るので、ちぎり絵用の和紙に似てきます。濡れているときに絵の具にひたすか、乾いてからエアブラシで着色します。 これからペーパークラフトを始めようという方は、すぐに使わなくても、なるべく多くの種類の紙をいつもそろえておくことをおすすめします。それらの紙を眺めたり組み合わせたり手に取ってもて遊んでいるうちに、新たな創作のヒントが生まれることもあるからです。 |
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第10回 着色 |
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基本編の最後に「着色」という項目を設けましたが、私個人としては、ペーパークラフトというのは素材の紙そのものの色で表現するべきであり、組み立てた後の作品に色や柄を加筆するのはあまりおすすめできません。第一、薄い紙の立体ではへこんだり、シワになりやすかったりして、うまくその上に加筆できるものではありません。 しかし、切り口などの白い部分を隠したり、ワンポイント的にアクセントをつけたい場合などのように小さい面積だったり、やむをえない事情の場合には、描き込みをすることもあります。また、全体が出来あがってから、色のバランスを調整したり、光沢をつけたくなることもあるでしょう。 全体的に色を付けるには、エアブラシやスプレー類を使います。この場合水が多すぎると紙がゆがむし、溶剤によっては紙の裏ににじむので、同種の紙で試してからにしてください。また、透明ラッカーやニスなどを吹きつけると、紙質とその上の着色材によっては光沢が出るし、補強になります。 ワンポイント的に色を付けるには、マーカー、パステル、水彩色鉛筆、アイシャドーなど柔らかい画材を使い、圧力をかけないように注意しながら描いていきます。水彩筆の場合は紙にシワができないように、ごく狭い面積の範囲にとどめてください。 最後に、私が1枚の紙以外に何の素材も使わないというルールのもとに作ったワンシートクラフトで、最後に加筆が必要になったときに使ったテクニックをご紹介しましょう。それは、電気ペン(焼きゴテ)を軽く当ててこげ目で図形を描くというものです。これならば色の元は紙自身が変化したものであり、他の素材を使ったことにはならないからです。 しかし、ペーパークラフトとして、最もポピュラーな方法は何といってもカラーペーパーを小さく切って「張り絵」によって作品を飾ることでしょう。ペーパークラフトとは紙で作るものなのですから。 |
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それでは、次の講座までごきげんよう。この講座についてのご質問や、今後取り上げてもらいたいテーマについては、下記のメールにてお寄せください。 それでは、次の講座までごきげんよう。この講座についてのご質問や、今後取り上げてもらいたいテーマについては、下記のメールにてお寄せください。 |
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