既視感歴史館

The Nostalgic World

初めて見るのに懐かしさを覚える不思議な世界です。

 

1.森はおもちゃ工場

Toy Factory

1999年発表 一辺10cm 新だん紙、ケント紙、和紙等使用
かつて、身の回りには遊びの道具やおもちゃの材料が満ちていました。
父親やガキ大将の先輩からノウハウを継承して、自力で何でも作って
いたものです。壊れやすいし、不恰好だけれども、金を出しても買えない
世界に一つだけの宝物が完成しました。
 
 

2.木登り


Tree climbing

1999年発表 一辺10cm マーメイド、ラシャ、和紙等使用
高々数メートル上っただけで、どうして世の中があんなに違って
見えたんでしょう。エレベーターで昇れる高い建物はあの頃もあっ
たし、そこから見る景色も知っていたはずなのに、自力で上った
木の上からの眺めはまた格別でした。
 
 

3.隠れ家


Secret Base

1999年発表 一辺10cm マーメイド、段ボール、和紙等使用
当時、空き地には土管がよく置いてありました。子供たちはよくその中に潜って遊んだ
ものです。やがて漫画本や遊び道具を持ち込み、廃材でリニューアルし、大人たちの
知らない自分たちだけの城を築き上げたものです。それはどんな豪邸よりも居心地の
良い場所でした。
 
 

4.路地はぼくらのレジャーランド


An alley is my amusement park

1999年発表 長辺18cm マーメイド、段ボール、和紙等使用
狭い路地は車が通ることもなく、子供たちの絶好の遊び場でした。そこは遊びの
種類によって西部の町にも、アフリカのジャングルにも戦場にも、、頭の中でいく
らでも変化させることができました。いわば変幻自在のテーマパークだったのです。
 
 

5.コンビニって昔からあったんだよ


The convenience store existed from ago

1999年発表 一辺10cm マーメイド、和紙、銀紙等使用
そこは子供の社交場。24時間開いてはいなかったけど店のおばちゃん、
頼めば何でもしてくれた。・・・かつては一つの町に一軒はあった駄菓子
屋の店頭です。商品が食品に限らないことや、その妖しい乱雑さもコンビ
ニをほうふつさせます。
 
 

6.小さな緊張感


Tence time

1999年発表 一辺10cm マーメイド、色画用紙、折り紙等使用
隣の彼女はクラスのマドンナ。(当時、ピンクのランドセルにはお嬢様のイメ
ージがありました)今日は教科書忘れて初めての「共同作業」。みんなのひ
やかしの中、この授業が早く終わってほしいとその時思い、もっと続いてほ
しかったと後になって思う・・・そんな遠く甘酸っぱい1ページを一つの情景に
表現しました。
 
 

7.特等席


A special place

1999年発表 一辺9cm ハイチェック、ラシャ、和紙等使用
ストーブ当番はもう大変。朝も早くから重いコークス運んで来て何度も失敗して
みんなのブーイングを浴びつつ火をつける。そんな思いをしたのだから蓋の上
で弁当を温めたっていいじゃない。これは自分へのご褒美。・・・昔なつかしいダ
ルマ型ストーブ、いろんなエピソードが浮かんできます。でも展示会で一番受け
たのは、上に乗ったシャケ弁当のリアルさでした。
 
 

8.月は今より近くにあったんだ


The moon was located from present in near

1999年発表 一辺10cm レザック、色画用紙等使用
この作品だけ舞台の年代が限定されますが、アポロ11号が月に着陸した1969年頃
天体望遠鏡が子供たちによく売れました。それは月を見るためではなく、その上にい
るであろうアポロ着陸船を見たかったからなのです。屋根の上の物干し台も懐かしい
時代です。夜を表現するため黒っぽい色調で制作しました。
 
 

9.明暗の日


Paradox Day

2001年制作 一辺10cm マーメイド、和紙、折り紙等使用
「へーんだ、あんな下駄箱に入ったチョコレートなんて食いたくないや。」
同じセリフを照れ隠しで言う奴と、負け惜しみで言う奴。その差は大きい。
私の子供の頃、バレンタインデーという習慣がギリギリ浸透してなくて、
本当に平穏な時代だったと思います。
 
 

10.もう一つの3月3日


Graduation day

1999年発表 長辺18cm マーメイド、色画用紙、和紙等使用
何度怒られてもひな壇に上ってみたかったた幼い日。そしてこの年も3月3日はやって
きたけれど本当に上ることができたひな壇は、そんな幼かった子供の時代に別れを告
げるための儀式。夢が一つ叶うということは、夢が一つ消えるということなのです。
 

 11.上京


Moved to Tokyo

2001年制作 一辺10cm マーメイド、色画用紙、和紙等使用
ここは田舎の小さな駅。春とはいえどまだまだ火鉢が欠かせない寒さです。
この日都会へ旅立つ若者が一人。彼の前途に待つのは栄光、それとも苦
難の道? 左の大荷物は当駅常連の行商おばちゃん。彼女はこれまで一
体何人の青春を見送ってきたことでしょう。
 

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